逆指値注文とは
「現在のレートよりも高いレートで買う」または「現在のレートよりも安いレートで売る」ことができるのが逆指値注文です。
仕組みは、例えば現在1米ドル=120円、1逆指値の買い注文を121円で出すと、実際に121円に上がった瞬間に121円で買いの成行注文が執行。
逆に、119円の逆指値売り注文を出すと、実際に119円まで下がった瞬間に119円で売りの成行注文が執行されるというものです。
ちなみに、逆指値注文が執行されることとなる逆指値レートは、引き金という言葉に由来して「トリガーレート」と呼ばれることも。
図を使って解説
この説明だけだとイメージがわきにくいかもしれませんので、実際に図を使ってイメージしてもらおうと思います。
逆指値で買うケースと売るケースをどちらも説明しますので、参考にしてください。
逆指値買い注文のケース
上記の図は、現在のレートを1米ドル=120円として、121円の逆指値買い注文を出したケースです。
買い目線でいくと、119円で指値注文を出しておけば1円安く買えるのに、逆指値注文だと1円高く買うことになってしまいます。
このように、指値注文は現在のレートよりも有利なレートで、逆指値注文は現在のレートよりも不利なレートで約定するという特徴があります。
しかし考え方を変えれば、119円まで下がらずに121円に上がってしまった時に、指値注文は逃しても、121円の買いで約定できることになります。
そのため逆指値注文は、エントリーではなく損切りのための決済注文で使うのが効果的だと言えるのです。
逆指値売り注文のケース
現在度は逆に、現在のレートを1米ドル=120円として、119円の逆指値売り注文を出すケースです。
売り目線でいくと、121円の指値注文を出しておけば1円高く売れるのに、逆指値注文だと1円安く売ることになってしまいます。
しかしこの場合でも、121円まで上がらずに119円に下がってしまった時に、指値注文は逃しても、119円で売り注文が出せることに。
そのため、指値注文よりは不利なレートになるけれども、最低限の約定だけは逃したくないという時に使えるのです。
「ということは、今のレートより高く買ったり安く売ったりするのって、損なんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
そこで以下では、逆指値注文のメリットとデメリットについて解説していきます。
逆指値注文のメリット
まず、エントリーとして逆指値注文を用いるメリットとしては、相場のトレンドに乗り遅れないことが挙げられます。
上昇トレンドに入ると当然レートは上昇するので、どこかで必ず買いエントリーしなければなりませんよね。
そこで、一定のラインを上抜けしたら買い、という逆指値注文を出しておきます。
そうすれば、目を離していても機械的に約定してくれるので、トレンドを逃さずに済むのです。
また、逆指値注文は決済の時にも「損切り」で絶大な効力を発揮します。
そもそもFXは、稼ぐことを目的としてやるわけなので、利益確定は前提ですよね。
しかし、それと同じくらいかそれ以上に、損切りも大切なのです。
現在までどれだけ稼いでいても、たった一度の損切りができないだけで大損してしまいます。
損切によって、いわゆる「コツコツドカン」を防げるのです。
損切りで逆指値注文が力を発揮する場面を具体的に説明しましょう。
1米ドル=120円で買いポジションを持っているケースを想定します。
「円高になりそうだな」と感じたら、1円以上の損失を出さないために、119円で逆指値売り注文を出しておきます。
そうすれば、レートがいくら下落して118円になろうと117円になろうと、損失は1円だけ。
このように、相場のトレンドを逃さずエントリーできたり、損失を想定内におさめるために威力を発揮するのが逆指値注文です。
逆指値注文のデメリット
良いことづくめだと思われがちな逆指値注文ですが、もちろんデメリットもあります。
それは、「読みが外れると全く約定しない」ということです。
なぜなら逆指値注文は、買いの場合はトリガーレートに達したら成行買い注文が、売りの場合はトリガーレートに達したら成行売り注文が執行されるという仕組み。
つまり、トリガーレートにならない限りは何も起きないからです。
例えば、1米ドル=120円の時に、下落トレンドを予想して119円で逆指値売り注文を出したとします。
ところが、予想に反して119円までは下がらず、119.50円で反発して上昇してしまったら、119円の逆指値注文は執行されないままになります。
このように逆指値注文は、実際のレートがトリガーレートに到達しなければ売買が成立しないのです。
また、実際のレートよりも不利なレートでしか約定できないというデメリットもあります。
例えば、1米ドル=120円の時に120円で買うことはできず、最低でも120.001円以上でなければ買えないのです。
売りの場合も、120円ぴったりで売ることはできず、最低でも119.999円以下でなければ売れないのです。
そんな時は、「成行注文」を活用すれば実際のレートで売買ができるのでおすすめです。
逆指値注文の活用方法
上記のようなメリットとデメリットを持つ逆指値注文は、どのように使えば効果的なのでしょうか?
基本的には、「損切りのための決済注文」として使うのが効果的です。
その理由は、逆指値注文の性質のせいで利益確定には使えないことと、エントリーとして使う時のリスク、さらにFXの資金管理の観点からです。
エントリーで使うと、約定してポジションを取った後、仕事などで忙しくてレートがチェックできなかったり、決済注文を出し忘れて放置した場合が危険。
しばらく経ってからレートを見ると、相場が逆に動いてしまっていて、とんでもない含み損になっていることも考えられます。
最悪の場合、暴落していてロスカットされているかもしれません。
最近では、イギリスのEU離脱をめぐる議会の対立が話題となり、それにつられてポンド相場も先の見えない大荒れが続いています。
そもそもこのような状況でポジションを取ること自体とても危険。
イギリスの情勢でポンド相場が数百、数千pipsも振れることがあるので、安易に逆指値でエントリーしないようにしましょう。
そこで、逆指値注文を損切りのための決済注文として用いれば、想定以上の損失を受けずに済むので効果的です。
例えば1米ドル=120円の買いポジションを持っている時に、1円下がったら損切りと決めて、119円の逆指値売り注文を出すとします。
実際に、米ドル円相場の先行きが悪くなり、119円まで下がってしまったら、残念ながら1円の損失です。
しかし、そこから相場が下げ止まらずに、118円、117円までズルズル下がったとしたら、「1円の損で済んで良かった!」とバンザイできますよね。
FXでは稼ぐことも大切ですが、いかに大損しないかが重要なので、必ず逆指値注文を出して想定以上の損失は出さないようにしましょう。
しかし、逆指値注文だけでは損切り注文しか出せず、肝心の利益確定の注文が出せないことに注意してください。
その問題点を解決してくれるのは、「OCO注文」です。詳しくは以下のリンク先で解説していますので、参考にしてください。
(※リンク先→OCO注文の記事へ)
まとめ
いかがでしたか?
現在回の記事では、指値注文とは反対の性質を持つ「逆指値注文」について、「仕組み」や「メリット・デメリット」、「効果的な使い方」を紹介してみました。
再度まとめますと、
まとめ
- 「現在のレートよりも高いレートで買う」または「現在のレートよりも安いレートで売る」のが逆指値注文。
- 逆指値注文を出しても、トリガーレートに到達しなれば逆指値注文は執行されない。
- 売りでも買いでも、逆指値注文は現在のレートよりも不利なレートでの約定となるので、損切りとして使うのが効果的。
- エントリーとして使う場合は、約定後の為替変動によって思わぬ損失を出さないために、決済注文の出し忘れに要注意。
「現在より不利なレートでしか約定できないんだったら、いらないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
ですが、現在のレートから動きがあった時に、パソコンやスマホにかじりついていなくても乗り遅れないための注文方法として、重要な役目があるのです。