IFD注文とは
IFD(イフダン)注文とは、「同時に2つの注文を出すことができる」方法で、FXの応用的な注文方法です。
エントリーと決済の注文を2つ同時に出せるので、忙しい人でも利益確定を逃さずに済むという特徴があります。実際には、
- 上昇トレンドに対して、指値で現在のレートよりも安く買い、指値でそれよりも高く売る
- 下落トレンドに対して、逆指値で現在のレートよりも安く売って、指値でもっと安く売る
といった使い方をするのですが、言葉だけで説明しても分かりづらいので、以下で図を使って説明します。
図を使って解説
下記の図を見てください。これは、現在のレートが1米ドル=120円の時、今後の相場が上がると予想しています。
119円で指値買い注文を出して拾い、121円で利益確定というトレードモデル。
このように、指値で安くエントリー注文を出すとともに、指値で高く決済注文を出して利益確定させるという使い方ができるのがIFD注文です。
基本的な使い方が分かったところで、次はどんなメリットやデメリットがあるのかを見ていきましょう。
IFD注文のメリット
IFD注文には、「忙しくてチャートをチェックできなくてもトレードできる」や「利益確定を逃さない」という利点があります。
さらには、「損失を抑えられる」さらに「トレードが安定する」といったメリットも。
①チャートにかじりつく必要がない
IFD注文は、エントリーから決済までをまとめて発注できるので、忙しくてチャートをチェックできなくても、トレードができるメリットがあります。
また、専業主婦や学生など比較的時間がある人でも、いったんIFD注文を出しておけば、相場をこまめにチェックせずに済み、時間や体力が無駄になりません。
このように、IFD注文を使うことで、トレード時間の確保が難しい人でもFXができますし、時間がある人でも効率的にトレードできるようになります。
②利益確定を逃さずに済む
さらにIFD注文には、利益確定を逃さずに済むというメリットもあります。
例えば、買い目線で1円の利幅を狙うケースを考えます。
始業前に1米ドル=120円で出した指値注文が仕事中に約定したとします。
一瞬だけ121円まで上昇したのに、昼休みにレートを見た時にはすでに120円まで戻していたらショックですよね。
こんな時、仕事中にトレードするわけにはいかないからと諦めるしかないのでしょうか?
答えは「ノー」です。
なぜなら、IFD注文を使って、120円の指値買いと121円の指値売り注文を出せば、120円で約定すれば自動的に121円の指値売りが発注されるからです。
これで、利益を逃す心配がなくなります。
レートから離れていても稼ぐチャンスを逃さないのがIFD注文のメリットです。
③損失を限定できる
IFD注文には、エントリー後に読みが外れた場合の損切りにも使えるというメリットがあります。
例えば、現在1米ドル=120円で、上昇トレンドに乗るために119円で指値買い注文を出したいと思っている。
けれども、うまく上がらずに下がってしまったらどうしようと悩んだことはありませんか?
そんな時は、IFD注文を使って119円の指値買いと同時に118円の逆指値売りを出せば大丈夫です。
万が一トレンドが転換して下落し、118円どころか117円や116円まで暴落しても、118円で損切りが執行されるので損失は1円で済みます。
このようにIFD注文には、エントリー後に予想と反対に動いてしまった時でも損切りができるというメリットがあります。
④安定したトレードができる
FXの為替レートは常に変動するため、エントリーした後も相場を見続けていると、目まぐるしく上下する為替差損益に一喜一憂してしまいます。
そのせいで、利益確定を早まってしまったり、損切りが遅れてしまう結果、「利益は小さく、損失は大きく」という稼げないトレーダーの典型に。
そこで、決済注文も合わせて出せるIFD注文を使い、エントリーする前から決済ポイントを決めておくのです。
そうすれば、相場の動きにつられて一喜一憂することもなくなり、安定したトレードができるようになります。
IFD注文のデメリット
そんなIFD注文ですが、いいことばかりではありません。
詳しくは以下で説明しますが、「決済注文がひとつしか出せない」「トリガーレートにヒットしなければ意味がない」というデメリットも。
①ひとつの注文に対して決済注文もひとつしか出せない
IFD注文は、ひとつのエントリー注文に対してひとつの決済注文しか出せません。
どんな不都合があるか言うと、利益確定か損切りのどちらかしか選べないのです。
例えば、1米ドル=120円で買いエントリーして、121円で利益確定の指値売りを出した場合、うまく121円まで上がってくれれば問題ないですよね。
しかし、121円まで上がらずに、120円を下回って含み損が出てしまったらどうでしょう。
損切りの注文が出ていないので、最悪ロスカットされるまで含み損は拡大し続けます。
このように、決済注文を利益確定として使うと、約定しなかった時に損失が非常に大きくなるリスクがあるのです。
一方、120円の買いエントリーと119円の逆指値損切り注文を出した場合は、損切りはしっかり行われるので安心です。
しかし、いくらレートが上がっても利益確定用の注文がないので、この場合は手動で利益を確定させるしかありません。
つまり、決済注文を利益確定として使えば大損のリスクが、決済注文を損切りとして使えば利益を逃すリスクがあるということです。
利益を逃すよりも大損する方が痛いので、IFD注文の決済は損切りとして使用し、利益確定は自分の手で行うのが得策だと言えます。
②トリガーレートに到達しなければ約定しない
IFD注文は、エントリーの指値注文がヒットしなければ決済注文も執行されません。
そして、エントリー後も決済注文にヒットしなければ利益確定も損切りもできないので、注意してください。
自分の時間軸にもよりますが、エントリーや決済が約定しそうかどうか定期的にチャートを確認して、その後の方針を見直した方が良いでしょう。
IFD注文の効果的な使い方
ここまでIFD注文について理解を深めていただいたところで、最後にIFD注文の使い方を具体的に紹介します。
パターンが多くなるので、売りエントリーのケースは割愛しますが、考え方は買いエントリーと全くの逆と思っていただければ大丈夫です。
①指値買い+指値売り
上昇トレンドに対して押し目買いを狙い、上がったところで売り抜ける手法。
例えば、現在1米ドル円=120円だとすると、「119円の押し目の指値買い+121円の利益確定の指値売り」を出せば2円の利益を狙うことができます。
②指値買い+逆指値売り
上昇トレンドに対して押し目買いを狙いますが、万が一上手く上昇しなかった時に備えて損切り注文を出しておく手法。
例えば、現在1米ドル円=120円、「119円の押し目の指値買い+118円の損切りの逆指値売り」を出せば、押し目買いに失敗しても1円の損失で済みます。
③逆指値買い+指値売り
レンジ相場を上に抜けた時や、上昇トレンドに乗り遅れないように逆指値買いで入り、もっと上がったところで指値売りを出して売り抜ける手法。
例えば、1米ドル円=120円〜121円のレンジ相場が上方向にブレイクした時に備えます。
「122円で逆指値買い+123円で指値売り」を出せば、1円の利益を狙うことができます。
④逆指値買い+逆指値売り
レンジブレイクや上昇トレンドに乗り遅れないように逆指値買いでエントリーするものの、その後上がらなかった時に備えて損切りする手法です。
例えば、1米ドル円=120円〜121円のレンジ相場が上方向にブレイクした時です。
122円で逆指値買いを出すものの、121円に戻ったら諦めて逆指値売りの損切り注文を出せば、損失は1円で済みます。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、IFD注文の「仕組み」や「メリット・デメリット」、「効果的な使い方」について解説しました。
再度まとめますと、
まとめ
- IFD注文は「同時に2つの注文を出す」方法で、「エントリー+利益確定」または「エントリー+損切り」という使い方。
- エントリーと決済どちらも同時に発注できるので、人間の感情を排除した安定したトレードが可能。
- 決済注文は利益確定か損切りのどちらかしか出せないので、大損しないためには逆指値の損切り決済として使う方が無難。
FXにはIFD注文以外にも多くの注文方法があり、それぞれ持ち味があります。
相場状況を把握し、使いどころを見極めて使い分けるようにしてくださいね。