成行注文とは
「売りまたは買いのレートを指定せずに出す注文」を成行注文(なりゆきちゅうもん)といいます。
言い換えると、「現在のレートから一番近いレートで売買できる」のが成行注文。
例えば、1米ドル=100円の時に買いの成行注文を出せば、100円で即座に買いポジションを持てます。
また、110円で売りの成行注文を出せば110円で即座に売りポジションを持つことが可能。
成行注文は、指値注文や逆指値注文と並ぶFXの基本となる注文方法のひとつ。
レートの指定が一切不要で、売りか買いのボタンを押すだけというシンプルな注文方法となっています。
使い方は、単純に現在のレートより上がると思ったら買い、下がると思ったら売るだけ。
メリット・デメリットと活用方法
そんなシンプルな成行注文ですが、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
成行注文の効果的な使い方とあわせて紹介したいと思います。
成行注文のメリット
成行注文は、「現在のレートで今すぐに買いたい(売りたい)」という時に効果を発揮してくれます。
発注の際には、指値注文や逆指値注文のようにレートを指定せず、売りか買いのボタンを押すだけの簡単操作でOK。
そのため発注の手間がかからないだけでなく、約定率も非常に高いというメリットがあります。
なぜなら、成行注文は指値注文や逆指値注文と違い、約定レートを指定しません。
ですので、指定したレートに達する必要がなく、現在のレートに一番近いレートで売買が成立。
例えば、よほどの相場変動がない限りは、現在1米ドル=120円の時に成行注文を出せば、120円ですぐに売買することができます。
成行注文のデメリット
上記のようなメリットを持つ成行注文ですが、次のようなデメリットもあります。
ひとつ目のデメリットは、スリッページが生じること。
スリッページとは、「成行注文を発注した瞬間のレート」と「実際の約定レート」が乖離することです。
要人発言や経済指標の発表によって相場の動きが大きくなっている時に成行注文を出したとします。
そうすると、ただでさえスプレッドが広がっているので、現在のレートより著しく乖離したレートで約定するリスクがあるのです。
ふたつ目のデメリットは、レートを指定して発注できないこと。
指値注文や逆指値注文のように、現在のレートからいくらか離れたレートになるという条件付きの発注ができません。
そのため、レートの動きを伺いながら発注する必要があるため、時間的に拘束されるというデメリットがあるのです。
成行注文の効果的な使い方
それでは、成行注文の「発注とほぼ同時にエントリーや決済ができる」というメリットをどう活かせるか見ていきましょう。
エントリーで使うとすると、例えば相場が上昇トレンドにあって下がってくれそうにない時に、成行買い注文をすると良いです。
なぜなら、指値注文を出して少し低いレートで待っていても、相場がうなぎ登りでぐんぐん上昇していく場合には約定できません。
そこで、成行注文の出番というわけです。
ただし、相場の動きがあまりに大きい場合には、スプレッドが開いている上にスリッページが発生して、予想外に高いレートで約定する可能性に注意。
例えば、現在1米ドル=120円、もっと上がりそうなので今すぐ買いたいと思い、成行買い注文を出したとします。
ここで、確かに約定はして買いポジションを持つことができました。
しかしスリッページが発生して、実際に買えたのは120円ではなく121円というケースです。
また、決済で成行注文を使う場合には、「利益を逃さない」ためや「損切り」目的での活用が考えられます。
利益確定の観点からは、ポジションの含み益が十分満足のいく水準に達しているので、指値注文は出さずに現在のレートですぐに決済したいという時に便利。
また、損切りの観点からは、相場が暴落していて指値注文では間に合わず、とにかくポジションを決済しなければ危険だという時に使えます。
非常脱出ボタンのようなイメージですね。
さらに成行注文は、スキャルピングという超短期売買でも活躍してくれます。
スキャルピングは、数秒〜数分という非常に短い時間で少額の利益を積み重ねる手法。
ですから、成行注文以外だと毎回の注文に時間がかかり、稼ぐチャンスを逃してしまいます。
要人発言や経済指標によって相場が活性化する時間帯を狙うことが多いので、スキャルピングで稼ぐためにはその時の売買判断が重要。
このように成行注文は、将来のレートでの約定を狙う指値注文や逆指値注文とは違い、「今この瞬間に売買したい」というニーズを満たすための方法なのです。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、成行注文の「仕組み」や「メリット・デメリット」、「効果的な使い方」について解説しました。
再度まとめますと、
まとめ
- 「現在のレートに近いレートで即座に売買できる」のが成行注文。
- 成行注文は、エントリーや損切りのタイミングを逃さないメリット。
- 約定させたいレートの指定ができないため、チャートに付きっきりになる必要。
- スリッページが発生して、発注時のレートと実際の約定レートが乖離するというデメリット。
- 数秒〜数分単位で瞬時の売買が求められるスキャルピングに効果的。
ですが、成行注文の出しやすさと約定力の高さは、短期売買においてはピカイチなのです。