トレール注文とは
トレール注文とは、決済専用の注文方法であり、「為替レートの値動きに応じて自動的に注文価格が追随する逆指値注文」のことです。
ちなみに、トレールとは「ついて行く・追いかける」という意味の英単語。
トレール注文は「利益を伸ばしたいけれど、もしも相場が反転した時には決済して、利益はきっちり確保したい」という時に効果的な注文方法なのです。
分かりづらいかもしれませんので、以下の図を見てみましょう。
図を使って解説
下記の図のようにトレール幅を30銭に設定した場合を説明します。
最高値を更新するごとに、その最高値から30銭下で損切りの逆指値注文が執行されるように切り上げられていきます。
ちなみに、一度切り上げられた逆指値のトリガーレートは、固定されて下がることはありません。
このケースでは120.20円が最高値でしたので、逆指値注文のトリガーレートはそこから30銭下の119.90円となります。
そして、120.20円に達した後、それ以上高値を更新することなく119.90円まで下落したので、119.90円で損切りの逆指値注文が執行されるという仕組み。
トレール注文のメリット
ここまででトレール注文の基本的な仕組みはお分かりいただけましたか?
次は「損失を押さえながら利益を伸ばせる」「忙しくて時間がない人でもトレードできる」「人間の感情を排除できる」という3つのメリットを解説します。
①損失のリスクを下げつつ利益を伸ばせる
トレール注文は、例えば買いポジションの場合、チャートの上昇に合わせて逆指値レートも切り上げてくれます。
そのため、チャートが上がり続ける限り利益を伸ばし続けてくれます。
そして、もしも相場が反転して下がっても、追随するトレールの逆指値注文で利益を確保できるのです。
逆に、売りポジションの場合は相場の下落に合わせてトレールの逆指値注文レートを切り下げてくれます。
このように、損失を最小化しつつ利益の最大化を狙うことができるのがトレール注文のメリットです。
②忙しくて時間がない人でもトレードできる
ポジションを持っても、仕事が忙しくて相場を監視できないせいで相場の上昇を逃してしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか?
また、利益確定注文を早めに入れすぎて、その後も相場が上昇を続けて悔しい思いをした、という経験がある方も。
トレール注文を使えば、忙しくて時間がない人でもトレンドさえ生じていれば、利益を伸ばせるところまで伸ばして決済できます。
③人間の感情を排除してトレードできる
よほどトレード慣れしていないと、ある程度の含み益が出てくると、「そろそろ下がるんじゃないか」とびくびくし始めたりします。
また、「今決済すればこんなに利益が出せる」と満足してしまい、決済したくなるものです。
「もうそろそろ」が「まだまだ」だったりするのがFXの世界。
あくまでトレール注文のルールに従ってトレンドを追いかけ続ければ、想像以上の利益が得られることもあるのです。
このように、人間の感情が入ったせいで早めの決済により逃してしまう利益も、トレール注文を使えばがっちり獲得することができます。
トレール注文のデメリット
そんなトレール注文もメリットばかりでなく、もちろんデメリットもあります。
ここでは、「相場の最高値で決済できない」「レンジ相場では使えない」「使えるFX会社が限定的」という3つについて説明します。
①相場の頂点で利益確定できない
トレール注文は、相場の最高値から一定のトレール幅を取りながら追随していくという性質上、相場のてっぺんで利益確定することができません。
だからと言ってトレール幅を狭く設定すると、簡単に逆指値レートに引っかかってしまうので難しいところです。
そもそも相場の頂点なんて誰にも分からないのですから、「最高値で決済できなくても、少し下まで追随できたんだから十分」と自分を納得させるべきです。
②レンジ相場では使えない
レンジ相場でトレール注文を使うと、逆指値レートがプラス圏に更新されることなくマイナス決済されるリスクが高くなります。
そのため、レンジ相場だなと思った時は、IFD注文やIFO注文を使い、レンジの底で買い天井で売るトレードを繰り返す方が稼げる可能性が高いです。
③使えるFX会社が限られている
トレール注文は非常に便利ですが特殊な注文方法であるため、発注できるFX会社が限定されています。
具体的には、DMMFXやGMOクリック証券、外為ジャパン、SBIFXトレードや外為オンライン、ヒロセ通商などです。
「せっかく口座開設したのに、トレール注文非対応だった」ということのないように、事前の情報収集を怠らないようにしましょう。
トレール注文の効果的な使い方
「トレール注文の特徴は分かったけど、やっぱり実際の使い方を知りたい!」という方に、具体的なレートを使いトレール注文の効果的な使い方を紹介します。
ちなみに、今回紹介するのは全て順張り目線のトレード戦略。
なぜなら、逆張りでエントリーするのは初心者には難しく、エントリーが早すぎると瞬時に損切りが発動する可能性が高いからです。
①逆指値買い+トレール幅1円
相場が上昇トレンドにあると判断したら逆指値買いでエントリーして、そのままトレールで追随して利益を伸ばしていきましょう。
通貨ペアにもよりますが、米ドル円などのメジャー通貨では上手く上昇トレンドに乗れれば1円程度のトレール幅で十分です。
例えば、1米ドル=120円で逆指値買いエントリーした後、トレール幅を保ちながら122円まで上昇したとします。
そこが頂点で、121円まで下がってしまったとします。
すると122円の1円下は121円なので、121円で利益確定となり、結果として1円の利益が得られるのです。
ちなみに、122円の高値を確認した後、121円半ばまで下がってきたところで、上げ直す見込みがないと判断し早めに手動で決済も効果的。
121.50円で利益確定すれば、トレール注文よりも50銭分多い利益が得られることになりますからね。
②逆指値売り+トレール幅1円
上記①とは逆のパターンで、相場が下降トレンドにあると判断して逆指値売りでエントリーし、そのままトレールで追随して下方向に利益を伸ばしていく戦略。
例えば、1米ドル=120円で逆指値売りエントリーした後、トレール幅を保ちながら118円まで下落したとします。
そして、118円が底で、119円まで上がってしまったとします。
すると118円の1円上は119円なので、119円で利益確定となり、結果として1円の利益が得られるのです。
上記①と同様、118円の底値を確認した後、118円半ばまで上がってきたところで、下げ直す見込みがないと判断して早めに手動で決済するのも手です。
118.50円で利益確定すれば、トレール注文よりも50銭分多い利益が得られることになりますよ。
まとめ
いかがでしたか?
今回の記事では、トレール注文の「仕組み」や「メリット・デメリット」「効果的な使い方」について解説しました。
再度まとめますと、
まとめ
- トレール注文とは、決済専用の注文方法であり、「為替レートの値動きに応じて自動的に注文価格が追随する逆指値注文」。
- トレール注文は、「利益は伸ばしたいけれど、相場が反転した時には一定の利益は確保したい」という時にうってつけの注文方法。
- デメリットもあるが、時間がなくでもトレードでき、損失を押さえつつ利益の最大化を図ることができる。
- 逆指値でエントリーはタイミングが難しいので、順張りでエントリーで利益を伸ばし、トレール幅に引っかかる前に手動確定が効果的。
「びくびくして早めに利益確定してばかりで、その後に相場が上がってしまうことがよくある」という方もいると思います。
一定の利益を保証しつつ含み益を伸ばしていけるトレール注文を一度試してみてはいかがでしょうか?